「あなたも、見にきたの?」
「えっ?」
「ほら、あの海の向こうに、おっきい山が見えるでしょ?」
「本当だ……」
オープニング
柳田國男です。
最終章なので、特別ゲストをお招き頂いております。
聞いてないですよ。
ども。今日は粘菌よりおもろいものが見れる言うんでね。
久しぶりやね、孫悟空君。
まあ良いでしょう、始めます。まずはアバンから。森島と橘は、実は以前会ったことがありました。という内容。
意地の悪い取り方をすれば、二人の仲には、その始まりに虚偽があった、という風にも言える。
なるほどなあ。
ん、この回で初見やね。
ふふ、そんな事言うてええんかな? 熊楠先生はわしより大物やねんで。
アバンの要所、海の向こうの山です。これのおかげで全26話の中でも最も謎めいた導入部になってます。
和歌山じゃないです。それ先生の地元ですよね。
意味深なのに、これっきりなんです。今後このアニメでこの山は見えないんですよ。
いや見えないんです、これは最後まで。というか最後らへんはいろんな意味で山とかどうでもよくなるんです。
人探しのついでに寄ったり、下の階段で待ち合わせたりする事はありますけどね。それでも棚町薫編までです。レストラン「トトス」のほうがまだ全体的に登場頻度が高いかもしれない。
海に浮かぶ山というと、やはり妙高かな。
二人して世界の真ん中を見ているわけね。それは、非常にしばしば、世界が生まれる場所でもある。
乳海攪拌ですね。でもこの山は、本当にこの場面だけなんです。二人の物語の中心点というわけでも、帰結点というわけでもない。単純に最初の一発です。
その辺も踏まえて、二人にとってこのイメージがどういう意味を持つのか、あくまで二人の恋愛話ですから、それはもう一回後で検討してみましょう。
放課後、橘を買い物へ誘いかける梨穂子と美也。
橘ははるかを待っていたのだが、この日はさくっと諦め、買い物に付き合うのだった。
こいつ余裕でてきたな。
やっぱり不要ながっつきが無くなるわけですから、態度も自然になるし、ほどよい距離感も掴めるようになる。すると女の子側も寄ってこやすくなりますよね。結果どんどん女の子と遊べる。彼女持ちの好循環ですね。
前のカットで、下校するモブに混ざって中多紗江がいますが、もうお互い気付かないですね。
橘「もうすっかりクリスマスモードだなー」
梨穂子「そうだねえ、もうすぐクリスマスだからねえ」
えっ、何?
クリスマスが近づいている。早くはるかをクリスマスデートに誘わなければと焦りだす橘。
その矢先、ゲーセンでプライズゲームをやっているはるかを見つける。
妹に今年も一人かー言われると、ちょっとムッとして「今年は僕だって!」と強がる。
すぐに美也が別の話題を振ってうやむやにさせてしまうんですけどね。結局次の場面ではケーキの話に移ってる。
森島はるかちゃん!
いや、基本的に全部偶然ですね。
回数 | 話数 | 遭遇の仕方 |
---|---|---|
1 | 1話A | 通学路で偶然見かけた |
2 | 1話A | 食堂で偶然見られた |
3 | 1話A | 廊下で偶然会った |
4 | 1話A | 図書館で偶然会った |
5 | 1話B | グラウンドで偶然会った |
6 | 1話B | 放課後に偶然会った |
7 | 2話A | 保健室で偶然会った |
8 | 2話A | 体育館で偶然会った |
9 | 2話B | 登校間際に偶然会った |
10 | 2話B | 廊下で偶然会った |
11 | 3話A | 廊下で偶然会った |
12 | 3話B | 橘から会いに行った |
13 | 3話B | はるかから尾行してきた |
14 | 4話A | (回想: 公園で偶然会った) |
15 | 4話A | 道端で偶然会った |
何やこれ! ちゃんと会いにいけよ!
たとえば絢辻と棚町はクラスが同じで、桜井は幼なじみ。中多と七咲は妹の親友と、何やかんやで会う機会があるんですよね。森島だけ実は橘と何の接点もない。普通に生きとったら会わないんです。
表を見ればわかるけど、3話で「冒険」から帰ってくると、自分たちの意思で会うようになるんです。でも4話になると何故か戻ってまうのよ。
すごい勢いで二人をごまかし、はるかの元へ駆け寄る橘。
突然のことにガクガクんなって「アァ……アア?」としか言えなくなる橘も橘ですが、「アがどうしたの?」って聞き返す桜井がまた……。
年とると医学が怖いよな。
(橘)「キレイなお姉さん、ボクをここから出してクマ!」
「ええ~~~~?!」
取れた。
取れたクマ。
ほんまええ事しか起こらんな。天佑に恵まれている。
「アコガレ」から「セッキン」、「ヤキモチ」を経て、ついに「レンアイ」と発展しました。今までのは恋愛ちゃうんかったんかって話ですけど。
ここは象徴的に狩りをやってるわけでしょう。犬は狩る方の動物やから犬を取っちゃうと狩りにならない。
でもって、このゲーセンの名前、「GAME LUNA」って言うんでしょ。月に熊に狩りときたら、女神アルテミスのことに他ならない。
せっかくなので、ゲームセンターで遊んでいく事にした二人。
二人でできるものを、という事で、イニシャルを使った相性占いをやってみるも、結果は30%とふるわない。
アルファベットを四つ入れて、それで数字が出てくるだけで、100円!!
ふだんゲームしない人にとっては余計な操作ができない方が逆にゲームっぽく感じられるというのはあるんで、これはこんなもんかもしれませんね。
まあ、わしらの若い頃なんか、今でいう面白GIFくらいのものを活動写真や言うて二円とか一円五十銭とか払わされとったからね。昔と比べたらあかんわ。
「もっかいやる!」
いいねえいいねえ!
違ってたらそれこそ金返せっちゅ話やからね。でも、占いの数字はそういうプログラムになってるってだけですけど、はるかちゃんの不機嫌は生身の感情ですから、そら嬉しいに決まってます。
イニシャルを変えると、相性は95%に跳ね上がる。
「やったぁ、大成功ね!」と喜ぶはるか。
森島はるかだからイニシャルは H.M です。これが M.H になるならまだわかるが、L.H はどこから来てるのか。
同じ事思った!
マジで! ……マジでえ!
「Lはね、ラブリーのL!」
「私の本名は、森島・ラブリー・はるかなの。ラブリーはミドルネームってやつね」
衝撃の新事実に「先輩ってハーフなんですか?」と驚きを隠せない橘。実際は母方の祖父がイギリス人なので森島はクォーターというとこらしい。
ラブリーって名前ありえるの? 森島かわいいちゃんみたいなもんでしょ?
子供の頃ならともかく、高校生でその勘違い続いてるんなら割とアホですよね。
それか、スペイン語圏みたいに、名字の方がミドルネームになってるって可能性はないんかね。つまり母方の名字がラブリーなのよ。
イギリスではわかりませんが、アメリカだと国勢調査局の統計で、LOVELYという名字があるのは確認できますね。
そうするとあれか、はるかちゃんの両親は森島家とラブリー家の結婚だったわけですね。
占いの結果に満足し、帰路につこうとするはるかを、橘が引き止める。
「今度は僕に付き合ってくれませんか?」
ここまでがゲーセンのシークエンス。
3話の終わり辺りから、森島は橘のリードをすごく待ってるんですね。彼の提案なら何でも乗るモードになってる。なんでこんな力む事もないんですよね。
さて、ここまでで大体全体の4分の1くらいですかね。他のヒロインのエピソードと比べると、割と回り道をしてるなという印象です。
本当の名前を教えましたね。その上自分の来歴まで明かしている。1話Aパートで、橘くんが自分の名前を教えました。ここでやっとそのお返しが来るんですよ。
んで、その事前に知ってた名前の方だと、占いの結果すごい悪かったわけや。「本名」の方だと95%出るのにね。
恋に恋してとりあえず好きになった森島と、知り合ってから、仲良くなってからの、その人として好きになったラブリーってとこでしょうか。そうするとなかなか印象深いシーンですね。
盛りますねえ。
それにしても、後ろの男三人はえらい殺伐やな。女とか連れてきよってみたいなオーラがギンギン出とるわ。
「めずらしいわね、君がこんな風に誘ってくれるなんて」
「……ここに来るの、久しぶり。昔は毎日来てたのよ」
初めて出会った場所へ。
ファスナー。
自分が取ってあげたものが、相手の日常の一部になる。これはもう、すごい良いね。嬉しい事ですよ。学校指定のカバンてのがいいんですよ。青春かつ恋愛ですよ。
明らかに代わりのものが見えてるんよね。煌々とした夕暮れの太陽が見えている。最初、海と山やったのが、海と太陽に変わってるんです。
変える理由があったって事ですよね。ただどうもその理由を本編中では説明してくれない。見てる人が読み解いていかなあかんですね。
森島に、二人の最初の出会いを明かす橘。それは一年前の、同じような夕暮れの中の事でした。
「……天気がいい日は、海の向こうの景色が良く見えるのよ」
「そうだったんですね、全然気付きませんでした」
「やっぱり、似てる」
「ん、僕、誰かに似てるんですか?」
「あのね、うちで飼っていた犬に良く似てるの」
(風)
うおお、あ、ありがてえ!!
全然ひどないよ、何を言うてんの? こんなんむしろ最上級でしょ。
すみません。
「そんな、困ったような顔が特にね。フフ、ごめんなさい」
「ハ、ハハハ」
お前のしょぼくれヅラは犬にそっくりやな言われてこの笑顔やわ。
しかも、それを振り返って「あの時、僕は落ち込んでて、でも、……おかげで何だか楽になったんです」でしょ。罵倒されて元気になる。ぼくら側の人間やな。
「ちょっと待って! じゃあ橘くんがあの公園くんだったの?」
「ええっ?」
出たー、「公園くん」!
「あのね! 私あの日のこと印象深くて、それで面白い子に会ったって人に話す時にね、
名前がわからなかったから、公園くん、て勝手に名前を付けてたの。それが君だったのね!」
すごい勢いでまくしたてる森島。よっぽど嬉しかったのか。
面白い子ってどういう事? 面白い事何もしてないよね。オウム返しして笑うてただけやんか。
しかし、森島は「大食いくん」だったり「公園くん」だったり、何でもくん付けなんですね。何かこうウシジマ君のセンスですね。
「ケニーん家みたいな臭いがするぜ!」
なんか見えたで!
橘と初めて出会った夕暮れ、なぜ自分が公園に来ていたかを説明するはるか。
実はこの公園は、一年前のクリスマスの日に亡くなった、彼女の愛犬との思い出の場所なのだった。
やっぱり犬を飼っていたんですね。
この公園はその犬のお気に入りの場所でした。「昔は毎日来てたのよ」ってのは、つまり散歩に連れてきとったわけで、家族の中で彼女が毎日散歩をさせていたんですね。
辛い思い出を持っているのは橘だけではなかった。というかデートをバックレられたのとペットロスとじゃ割と比較にならんですよね。
最愛の犬が亡くなって、この子はとても哀しかったんでしょうねえ。
愛する者を失うと、何を見てもその者を思い出すんですよね。だから「思い出す度悲しく」なる。でも、いつかは受け入れなきゃいけない。
それでもって、一番辛い場所であるはずの公園へわざわざやってくる。哀しみとの付き合い方という意味では、橘よりもずっと強いですよね。
「そしたら、ジョン(犬)が大好きだったこのベンチに座ってる男の子がいるじゃない」
ちょうど橘くんも公園には来てた。けど、単に思い出し凹みに来てただけなんですね。まともに動けるまでもう一年かかる。まあこういうは本当に人それぞれなんで、比較するのは非常によくない事やねんけど。
それで二人で初めて言葉を交わすところがさっきの場面となる。あの場面で、はるかちゃんにどことなく影があるような感じがしたのは、偶然ではなかったんですね。
クリスマスに犬が死んで、ここではまだ冬ですから、まあ一ヶ月か二ヶ月経ったくらいかな。それで、この後はちゃんと乗り越えられたようですね。
というより、そんな事があったんかってくらいに、昔の哀しみも克服した事もおくびにも立てない。強い子ですね。
うわ、なんかムカつく。
「きっと、ジョンが橘くんと私を会わせてくれたのね」
聞いたか? なあ聞いたか今の? わし言うたよね、犬の力って、わし言うたよね? どうですかこれ! な?
犬は呪術的な力を持っとるからね。犬(DOG)をひっくり返すと神(GOD)になるって話、したっけ?
わしが先生に手紙書いて教えたんよ。あん時はえらい驚きはったわ。
2話で、森島が犬の雑誌を見て「このワンちゃん、あの子に似てるかも」って言うところがありますね。あの子ってのは橘の事で、橘はジョンに似てるので、つまりあの犬がジョンに似てる。
自分の話を終え、「あの時なんで橘くん落ち込んでたの?」と聞く森島。橘は「僕は、二年前のクリスマスに、この公園で待ち合わせをしていたんです」と答えます。
「へえ~。それって、……女の子?」
イエエエーーイ! やったあー!!
すごいちっちゃいけど、すごいちっちゃいねんけど 、頬のところに汗が描いてあるのね。もう、ほんの数ミリの白線ですけど、これが無いのとあるのとでは0と1ですよ。
「でも、すっぽかされちゃいました」
なんでちょっとカッコええの?
え、そんな誘い方? え、重い、重いよ! ちょっと断わりづらいし、言い方もなんか酔うてる感じする!
友達思いの梅原がおって、気遣いの優しい棚町がおって、想いをかけてくれる桜井がおって家に帰れば妹がおるのに救われるのは通りすがりの美人やないと救われないっていうのが橘の人づきあいですね。
「ダメ」
イエエエーーイ! やったあー!!
ただ、残念ながら橘がしょっぱいから振られたわけではないんですね。何でも森島家では、「クリスマスは毎年、イギリスでおじいちゃんとおばあちゃんがきて、家族でパーティーしてるの」との事で。
ほーう……? まあ、家族で過ごすんやったらしゃあないな。それが本来の過ごし方やし、水いらずを邪魔するわけにもいかへんもんね。残念だが橘くんには日を改めてもらいましょう。
「だから、ねえ、うちのパーティーに橘くんをご招待したら、来てくれるかな」
なんですとオー??!
それでOKなら「イブを一緒に過ごそ」と、ダメ押しするのも忘れません。一瞬で元気を取り戻しビン立ちになる橘。
「はいぃ!! よろこんで!!」
「……フフ、フフフフ」
「え、えへへへ……」
「「ははははは」」
神も仏もおれへんのか……!
Aパート終わり。
アイキャッチ
モリシマハルカー♪
日は変わってクリスマスイブ。暮れなずむ街をひたすら走る橘の姿があった。
「やばい、待ち合わせに完全に遅刻だ!」
救ってくれとまで言うといて堂々の遅刻中。そういや、待ち合わせで橘が遅刻するのもこのパートだけでしたっけ。
「美也が変な事言うから!」って、さらっと人のせいにしとるけど、美也ちゃん何を言うたの?
クリスマスの過ごし方は3パターンあって、学園祭で過ごす(A)、学園祭で過ごしてから外で遊ぶ(B)、外で遊ぶ(C)。で、C(森島・棚町)→B(中多・七咲)→A(桜井・絢辻)と進みます。
これJR銚子駅ですよね? 風力発電機も出てたし、舞台は銚子って事でええんかな。
80年代って三十年前なの? え? マジで?
息を切らしながらはるかを探す橘。しかし、先に見つけたのがはるかの方だった。
「こんな日に女の子を待たすなんて、いけない子ねえ」でも頭から湯気が出ていたので許した。
「いけない子」やて! うへへ、「いけない子ね」やて!!
とりあえず頭を下げるしかない橘。そしたら頭から湯気が出てて、そんだけ汗かいて必死やったらまあええわってなる。
まあ、基本的にこのアニメでは、橘くんが何かに失敗するってのは、その後何かラッキースケベ的な事が起きるという前フリなんで、そういうもんやと思って見た方がええですね。
何かラッキースケベ的な事が起こりますね。
いよいよ始まった二人のクリスマスデート。
まずはホテルにやってきました。
えっ? 何これ、えっ、これ一発目? あれ? えっ、いきなり? あの、えっ、お茶とかすら無しで? そんなに性欲が?
「汗くさいボーイフレンドを家族に紹介できないじゃない?
だから、ここでひと汗流していきましょ」
エ、エ、エエエーーーーーーッッ!!!!
ここでそれ以外のリアクション無理でしょ。ま、わしなら軽く「ひと汗かいてく、の間違いやろ?」と返しますけどね。
うまい! 國ちゃん上手いわあ、あくまで軽く言うのがいいね。そうゆうの女の子は弱いよな。うん、うん。
(橘)「水着のレンタルがあって助かった……」
(橘)「まさかホテルのプールで汗を流すなんて」
エエーー、……?
ああなるほど! なるほどなるほど! なるほどーー!!
しかしこのホテルデカいよなあ。ここ付属のプールやのに、見て、人間の大きさあんなんやで。弁天町のプールよりデカいでしょこれ。
え、そんな原発みたいな、ていうかここ民営ちゃうんかったんか……。
「 お ま た せ ー 」
来た!
*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜
*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜
「あたらしい水着なんだけど、どうかな?」
…………
デブ「うわぁぁーい」
ザッパーン
これが、メタファーの力だ。
ビキニのインパクトに聞き流しそうになりますが、わざわざ新しい水着を持ってきてるんですよね。だから、橘が汗かいてたの関係なしに、最初からこのプールに連れてくるつもりだった事がわかる。
これ以上直視していたらジェントルメンとしての尊厳を保つ事が不可能と判断した橘、「泳ぎましょう!」と叫んでプールに飛び込みます。ニヤっとして「待ってよー」と嬉しそうに後を追いかける森島。
いやよう我慢した思うで。ぼくの一部も半ぶん元気やもん。
手をつないで浮かせたり、水をかけてふざけあったり、水中でにらめっこしたり、ウォータースライダーに乗ってすべったりだ。
……ぼくもな、しょうらい高校生んなったらな、女の子とこういう事したんねん。
(一緒に泳いでるだなんて、現実とは思えないな……)
「こぉ~ら~」
「私といるのに、他の女の子見たりしないの」
おお、おおお……!!
「違いますよ! 見てないです! ていうか、目の前に先輩がいるのに、他の女の子なんか見る必要ないです!」
「そ、そお? ……ならいいけど」
この表情!!
いいですねえ、非常にいいですよ。前回「ヤキモチ」やったらしいけど、むしろ今回持ってきた方が良かったんちゃうんかね。
あれほど無敵だったマドンナがここまで落ちて、主人公は相変らず唐変木で、なぜか我々が優越感を得る。良くできたシステムですよ。
はるか「ごめ~ん、着替えるのに手間取っちゃった」
なんやそれ! はるかちゃん、なんやそれ!
先に言うときますけど、下に何着てようが、この先いっさい映らないですからね。何でも一緒です。
(@1) 折口君、それは違うよ。それはわかってない!
たとえば画面一面にはるかちゃんのパンツが映る、それは嬉しいし、エロいねんけど、同時にそのパンツがもっていたエロさはそこで閉じてしまうんです。それはもう何とも響き合わないパンツだ。そのパンツはもう何も生み出さない。
まだ見えないパンツに対して、ぼくらはそれと対話し、それと戯れることができる。一方、見えてしまったパンツに対しては、ぼくらは拝んで通り過ぎるしかできないのです。
ぼくらはパンツのみに嬉しさを感じるのではない。時にそれはただの布、ただの絵です。そうではなく、パンツに付随するもの、パンツによって想起されるものこそ、ぼくらを衝き動かす原動力となるのです。
九鬼周造は色気について、自己と異性の「二元的可能性を基礎とする緊張」と定義し、その「可能性を可能性として擁護すること」を媚態の本領とした。
九鬼によれば、縞模様は「二元性の最も純粋なる視覚的客観化」であり、建築における茶屋、音楽における清元・哥沢と同じく取り扱われるものである。
先生、こないだまでパンチラチャーンスとかクソッとか言うてましたよね。
「待ち合わせの時間はまだ大丈夫なんですか?」「あーそっか、忘れてた!」「忘れちゃダメですよ、先輩!
……で、待ち合わせの時間て何時だったんですか?」「んー、一応予定だと、一時間前!」「げええっ!
……集合場所はどこなんですか?」「えっとねー、ここ!」「えええ~~!??」
この子大丈夫か?
どっかで見た流れと思ったら、2話で好きなタイプ聞いてた時のノリに似てますね。思えば1話とか2話はずっとこんな感じでしたね。
あーそういうわけではないんですけど、それはそれで何かいいですね。想像が広がりますね。
とりあえずここは、橘くんをひっかき回して楽しそうにしているはるかちゃんをひたすら愛でておきましょう。「えっとねー、ここ!」って言うときの目の動きなんか、本当にチャーミングなんですよ。
「もう、強引なんだから」
これはBパート始めのこのシーンに対応してます。
ああ確かに、最初はるかちゃんが橘くんの手ぇ引っ張って、それでデートが始まったもんね。それがここでは逆になってる。エレベーターのドアが閉まる演出とも相俟って、つまりこっから別のデートが始まるんですね。
ここでは橘が無意識に引っ張ってるってのが一つの違いでしょうか。ただ中身は依然へたれなんで、強引や言われたらバッと手を離して「すみません」て謝ってしまう。
まったくその通りですね。
(ううっ、僕、高所恐怖症なんだよね……これは怖すぎる!)
いらんことすんなよ!
これはねえ、ちょっと出してくるタイミングが悪いですよね。24分の4話で96分のところを86分辺りで出してくる。横山三国志やったら孔明が馬謖を切った後くらいに突然新設定が出てくるようなもんなんで、まあ座りは悪いですね。
しかも3話目の冒頭で、校舎の屋上のフェンス前に立ってわーいとかやってますからね。ほとんど気の持ちようくらいのレベルなのではないか。
先生、それ、いつ言えるかわかんないから、今言いましたね。
その時って具体的に何年の何月くらいなん?
「あ、実はね、飛行機の都合で今日はおじいちゃんたち来られなくなっちゃったの。
だから二人っきり」
こわいなあ! 女こわいなあ!
偶然もここまできたら清々しいよな。しかし橘くんは現われただけで熊を獲れたあたりがピークかと思いきや、今度は空飛ぶ飛行機まで止めてしもうて、その神通力は留まるところを知らんですね。
えっ、うそん? えっ……ああそゆことですか? おじんたちホンマは来てんねや。だ、だまされた……。じゃああれか、イブのパーティーは別んとこでやってんねや。
いやだって、パーティーするのはクリスマスや言うとったでしょ? イブではない。ていうか、イブの事は何も言うてない。ぼく、内心脚本のミスかなあ思うとったんですけど、どうも違ったみたいやな。
そんな……そんなんわからんやんか。学園祭の後からパーティーかもしれへんやんか……。
それは……家やったら、たぶん色々大変なんですよ……。準備とか……。
ううっ……うううっ……。
まあ、イブにパーティーはないですね。ホテルでパーティもないです。祖父母の当日便の話も怪しい。もっと前から来てて、25日に家で、とかはあるかもしれない。でも去年はその日に犬が死んでますよね。そん時の話はなぜ無いのか?
思うに、モテる人なんでしょう、パーティ云々は元々は体よく断わるための持ちネタやったんちゃうんかな。でもって、家族と一緒に会うならいいって条件は、はるかちゃん流の一種の試しやったのかもしれへんねえ。
というわけで橘をホテルに連れ込んだ森島。お風呂があんまりにも大きいので、せっかくだから入る事にします。
あ……入浴シーンはもっとこわいな……。ここらで着替えのパンチラが一番こわいなあ……。
「覗いちゃダメだよ?」
あ、覗いてええねや。
(僕も一緒に入ったほうがいいのかな……いやいや、僕と先輩はまだそんな関係じゃ!
ああでも、そういう関係になりたいわけで……って、何を考えてるんだっ!)
ああぼく、この子やっぱちょっと好きやな。
イブの夜が更けてゆく。
ここで学園祭、というより学園祭にいる塚原響へフォーカスが移ります。ちょうど、七咲とやっていたおでんの模擬店が完売したところですね。
弟を待たせている七咲を先に帰らせ、一人になった塚原は、空を見上げて「あの子も頑張ってるかしら」と微笑みます。上の場面ですね。
これは前の話を見てるとわかりますね。響ちゃんが橘くんにはるかちゃんを任せた、というのが第3話の流れでした。頑張る必要があるのは、だからはるかちゃんではなく、橘くんです。
(先輩がお風呂から出たら僕もお風呂に入るのか?……まあ確かに入らないとまずいよなあ。
……だからなんでまずいんだよ!……これはさっきと同じじゃないか……)
……。
バチン
「え、停電か?」
おおお?
「……違うよ」
「先輩?」
ふ、ふ、ふんうおおおおおおおおおんんんっっっっ!!
「はずかしいから、わたしが消したの」
うおおおーっ、2、3、7、11、うおおおーっ、13、17、うおおおーっ、うおおおーっ。
「違うよ」
「はずかしいから、わたしが消したの」
うおおおーっ、19、20、うおおおーっ。
「違うよ」
タッハー! たまらんわぽっくんたまらんですヴァイ! ちょっとリモコン、ちょっとこっちリモコン!
「違うよ」
何回見るねん!
こんなに金属的で、冷たくて、ざらざらした声なのに。この、千尋の水底に沈み込まんばかりのエロさ。声優すごい。
「えっ、その格好は……、先輩?」
「……」
「ばか」
「どうして覗きに来てくれないの?」
うん、え?
「どうして覗きに来ないのよ!!」
(SE)「ガビーン」
(しまったあああ! 僕覗きに行かなきゃいけなかったのかあああ!!)
はーーーーーーーいぃ?