アマガミSS 第二話 レビュー


第1話「アコガレ」 目次

やな國こと柳田國男です。こちらはおりしーこと折口信夫君です。

折口です。

森島はるか編 第二章「セッキン」


にべもなくはるかに振られ、押入に篭り一睡もできず朝を迎えた橘純一。
梅原や薫に心配され、詞の助言に従い保健室へ向かう。

面白い振られ方ついでに面白い顔の橘くんです。

二話が始まると同時に、押入から橘が出てくるカットになるんですが、カバンも床に置きっぱなしで、服も制服姿のままなので、前話で押入に入ってそのままだったという事がわかります。

どうやって襖を開けたのか非常に不思議な絵面になっているので、見れる人は確かめてみてください。

押入から出た橘は、美也もビックリするほど憔悴した顔になってました。登校しても棚町や梅原に真剣に心配されます。

高校生が一日寝なかったくらいでどうってことないので、これだけ顔色悪いという事はそれくらい心労が激しかったという事です。

告白して振られただけの事ではありますが、自分の殻を破ろうという決意あっての事ですからね。

振られたのもそうですが、告白してしまった事自体割とショックかも知れません。半ばノリで言わされたようなもんですから。

棚町にも梅原にも生返事の橘に、たまたま通りかかった絢辻が、保健室で横になってくるように勧めます。橘は口半びらきで保健室へ向かいます。

ここでもちょろっと決定的な役割をする詞ちゃんです。しかし、橘くんはみんなに心配されててええね。大人んなると女の子どうよりこういう友達の方が真っ先にいないですからね。


橘が保健室に入ると、ベッドではるかが寝ているのだった。


同時に目のクマが治りました。

もっとみんなに殴られればいいと思うんですよね。みんなにはその権利がある。


オープニング

パンニングで教室内のヒロインを一人ずつ映していきます。森島から棚町、中多、七咲、桜井、絢辻の順で、それぞれのヒロインのパートの順番を表しています。

ヒロインのパートの順番を表すと同時に、それぞれのヒロインをどの方位にお祀りすればよいかのガイドにもなっています。

森島から棚町だけ角度が妙に開いてるんですよね。カメラの動きが明かに早い。ここだけ間が135度なんです。棚町からは一人45度ずつなんですよ。

つまりはるかちゃんと薫ちゃんの間に、本当は二人入るという事やね。方位というのは八つあるんやから当然の事です。入るのは隠れヒロインと妹の美也ですね。

黒板が北だと仮定して、西と西南が空いてるんですね。どっちがどっちなんでしょうね?

これは西の方角が隠れヒロインで、西南は美也が置かれるはずです。というのも、このOPでのヒロインたちの置かれ方って八卦なんですよね。はるかちゃんは北西つまり乾の卦で、乾は三爻がすべて陽であり陽のエネルギーが極まっている事を表している。詞ちゃんの坎の卦は中の爻だけが陽になっていて、「中に何かがある」と捉えあらゆる難卦への足がかりになります。逆に薫ちゃんの離の卦は外剛にして内柔であり芸術肌の象徴であるとか、紗江の巽は女性らしさ、逢ちゃんの震は突き進むエネルギー、梨穂子ちゃんの艮は山のように動じない安定性、万事この調子です。と考えると、弁舌や色恋を表す兌の卦(=西)は当然隠れヒロイン、従順さや素直さを表す坤の卦(=西南)は美也ちゃんという事になります。

黒板が北やなかったらどうするんですか?

その時は私は自説を修正せねばならないでしょう。


昨日の事を思い出し身構えてしまう橘。しかし、はるかは何事もなかったかのように橘に接する。
その普通さにうろたえる橘だが、はるかは人間関係は彼氏彼女だけではないと諭す。

森島は深夜番組で夜更かししたので保健室で寝ていました。この学校大丈夫ですかね。

橘くんも寝不足だと知るや、さらっと「一緒だね」と連帯するあたり、やっぱり強者です。

何の深夜番組ですかね。時代設定としては、よく1999年辺りの話ではないかと言われているんですが。

アマガミSSの時代設定については、色々考えどころがあるのですが、詳しくは後々追うとして、ひとまず1999年の話だとしておきましょう。

1999年11月のカレンダーはこちらです。

123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930

1話の導入部で、高橋先生が「11月も残り半分ですが」と発言しています。この発言が一番合いそうなのが11月15日、月曜日の朝礼時間ですね。

同じ日のランチに橘と森島が出会います。これをDay 1としましょう。放課後に図書室で会うのもDay 1です。それから何日かを挟んで、校庭で馬乗りしてるところで再会します。これをDay 2とします。

再会したのはDay 2のランチか休み時間。放課後に告白して振られるのもこの日です。で、片や押入の中で一睡もできず、片や深夜番組で夜更かしして、次の日寝不足になる。この日をDay 3としましょう。

Day 1が1話Aパート、Day 2が1話Bパートです。Day 3が2話の冒頭ですね。森島が見た深夜番組はDay 2のものです。Day 1が11月15日なら、Day 2はいつなのか。

Day 2、1話Bパート冒頭で「もう何日も会っていない」て橘くんが言うんですね。月曜に会って、火曜や水曜でこの言い方はしないだろう。でも、日曜を跨いじゃうと「もう一週間も」という言い方になるだろう。

そして、土曜日と日曜日は学校が休みだろうからDay 2として成立しません。でもって、深夜番組を見た次の日は学校で寝ているので、Day 2とDay 3は並んで登校日である必要がある。

つまり休日の前日である金曜日が消える。消去法で、はるかちゃんが深夜番組を見て夜更かしした日は1999年11月18日木曜日という事になります。

1999年11月18日の関東圏の深夜番組については、下の表をご覧ください。


学研パブリッシング、「TV Life 首都圏版」1999年11月6日発売号の番組表です。国会図書館でコピーしました。引用という事でかんべんしてください。

深夜番組というのはだいたい30分なので、一つ見てしまったくらいでは夜更かしはしません。いくつか流れで続けてみてしまって、気がつけばこんな時間に、という感じだと思うんですが、この日はどうでしょうか。

とりあえず、テレ東は除外してよさそうやね。エクセルサーガのアニメとか、なんかもう、今思い出しましたわ。

ワンダフル見て、途中からトゥナイト2見て、それくらいでしょうか。

わしらは関西の出ですので、ワンダフルもトゥナイトもよう知らんのですよね。女子高生が見てもおもろい番組やったんかなあ?

トゥナイト終わった後が厳しいですね。いろもん2、男3人ラブ珍ハント旅、スペシャルリングサイド、JSショー。どれ見ますか。

エクセルサーガかな。

三石に子安に南央美ですね。南央美さんは最近なかなか聞けませんからね。でも森島はアニメ見ないでしょう。

JSショーって、アメリカ版の愛する二人別れる二人みたいなショーらしいですね。「恋人は男だった!?」ってのがもうお腹いっぱいですね。こういうのは見るかもしれない。

JSショーが終わって2時ですね。2時からは本当に何もないです。テレ東で映画「真昼の逃亡者」が始まるんですが、これはIMDbで10点中4.7点と厳しいものがあります。

そもそも映画見て夜更かししたんやったら「面白い映画をやってて…」っていう言い方になるはずですよね。たぶん映画は見てないと思う。

とすると、Day 2の森島はるかは、ワンダフル→トゥナイト2→JSショーを見て、2時に寝たと、そういう事になりますかね。

どうもね、今ひとつ弱い気がしますね。さっきね、土曜日は休みやから、Day 2は金曜日ではないとしてたんだけども、土曜日が登校日っていう可能性はないのかな?

学校週休2日制が全国的に施行されるのは2002年ですから、1999年なら土曜日登校の可能性もない事はありません。

11月19日の番組表を見てみましょう。


0時30分にタモリ倶楽部です。

空耳アワーがキレキレの頃ですよ。いい予感がしてきましたね。

森島はお笑いとかは好きそうな雰囲気はあります。で、金曜はお笑いだけで繋げていけるんですね。

1時10分から「さんまのまんま」です。相手、柴田理恵ですから、これは安定感ありますよ。

関西だと夕方の番組という印象が強いんですが、東京だと深夜にやっとったんですね。

「さんまのまんま」終わったら、そのままフジでジョビジョバを見るか、日テレでモノマネの番組見るかやね。それが終わったら日テレの「鶴+龍」、これパペポでしょう。これを見ずには寝られない。

金曜夜は強いですね。タモリ倶楽部→さんまのまんま→まねキン or ジョビれば→パペポTVですか。

その後、これは寝やな思うて、風呂入って、出てきたらちょうど「探偵!ナイトスクープ」はじまります。さすがに、そのまま寝てるかもしれませんが。

タモリ倶楽部始まる0時30分までは、何してたんですかね。

長電話でもしてたんちゃう?

そういう事にしておきましょう。

さて、これでわかりました。1999年11月19日金曜日、橘くんからの告白を断ったはるかちゃんは、タモリ倶楽部、さんまのまんま、パペポTVを見て夜更しして、次の日保健室で寝ているところを橘くんに見つかったのです。

本題に戻りましょう。


昨日の事を思い出し身構えてしまう橘。しかし、はるかは何事もなかったかのように橘に接する。
その普通さにうろたえる橘だが、はるかは人間関係は彼氏彼女だけではないと諭す。

森島は深夜番組で夜更かししたので保健室で寝ていました。この学校大丈夫ですかね。

深夜番組の話、丸々要らんかったね。

とりあえず寝ようかというタイミングで諸問題の根源に出くわしてしまった橘、昨日の告白の出来事が一瞬でフラッシュバックします。

更にタイミングの悪い事に、はるかちゃんすぐ起きてまうんよね。はるかちゃんは常に不意打ちの人です。

キョドってしまう橘ですが、森島の対応はいたって普通です。橘の体調を心配するそぶりすら見せます。

またこの時のガードが緩くてね。橘くんがドキドキしちゃうような事をするっとやってくれるんですね。


これですね。生脚にソックスを履くサービスカットです。

生脚にソックスを履くのがサービスカットになるのです。

基本的に脚には強い執着を持っているアニメですが、森島の場合は特に脚が強調されます。最初にランチに会った時も足から出てきて、橘も屈んだ所で脚から見上げていくんですね。

図書館でぶつかった時もまず脚でしたからね。脚見て謝って顔見たら先輩でした。基本的に脚の人なんです。

さて橘、ソックスを履くところから思わず目をそらして、振った人にそんな普通にしゃべっててええんか的な事を言います。

意外と橘くん、なあなあにしておかないんですね。「先輩が普通に今までと変わらないから」から2秒くらい言い淀んで、「僕、先輩に振られたのに」。言い淀むのは、言うとハッキリしてしまうからです。でも言う。

いやハッキリ振られてますけどね。で、この遠慮に対する森島の最初の反応が「なんで?」です。「人付き合いって彼氏彼女だけじゃない」、「実は君の事結構気に入ってるんだけど、迷惑?」と。

彼氏彼女だけじゃないって、まあ正論なんですけどね、この文脈でそれを言うとキープ君宣言みたいになってまうよね、そのつもりがなくても。

というのは森島もある程度わかっているらしい。すぐに謝ってしまいます。「私はよくても、君は嫌だったよね」。「ごめんね、無神経に話しかけて」。天衣無縫と思われた森島はるかの、初めてその陰が覗きます。

このアニメで、はるかちゃんの動機はどこにあるのか?という事ですね。この台詞にあるのはその片鱗です。彼女の無邪気さが人を傷つける事を、彼女は知らされているのです。

「嫌だよね」ではなく、「嫌だったよね」と言うところに、自分で断じるのではなく、何か別の参照先を見ている雰囲気があります。心なしかちょっと言い急ぎ気味でもありますね。

ここで抑圧として働いてるのが、響ちゃんです。色んな意味ではるかちゃんが全開にならないように、常にあれこれ言い聞かせているらしい。でも、この抑圧は彼女を守るためでもある。

塚原響は親友という事になっていますが、役割は完全に保護者ですね。塚原が何故二人の恋を肯定し、手助けして行くのかを考えるのも、一つの補助線です。


今まで通りの関係が続いていく事を確認した二人。
「年上で頼り甲斐がある人」以外のタイプを聞く橘だが、ハードルは上がっていくばかりだ。

橘は軽くOK。

こう軽くOKできるのは、森島が何を求めているのか、全くわかってないんですね。いい時間稼ぎができたくらいの認識しかありません。

彼氏いらん言うてるのに彼氏になる気満々なんですね。だからすぐに好きなタイプとか聞く。

「年上」も「頼り甲斐」も自分に無いものだと知ってますから。じゃあ他にはなんか無いのか。あわよくばを連ねていく男子高校生らしい発言です。

ところが、ここで森島は「そんな事言ったっけ?」と聞き返します。話の根底を無いことにしてしまう。

相手に一番無いところばかりをピンポイントで要求して撃沈させたのに、次の日には忘れている。ほれぼれする返しですね。

で、改めて森島はるかの求める男性像は次の通りです。


「やっぱりタフな男の人には憧れるかも」「タフ!」
「あとは、カリスマ性を感じるような人もいいかも」「カリスマ!」
「リーダーシップがある人とか!」「リーダーシップ!」
「あ、でもどれも違うような気がしてきちゃった。」「そんなあ!」

もてあそばれています。

最後もうギャグですよね。いいわあ。

「年上で頼り甲斐がある男」の時はノーモーションからの断言だったんですが、こちらでは「かも」「とか」だらけで、ずいぶん言葉尻を濁しています。

ここは面白いところですよね。外面だけを見れば、これって要は好きなタイプはいないって事ですよ。しかし、はたしてどこまで本心なのか。

本心なのかもしれないし、煙幕なのかもしれない。単に何も考えてなくて、出任せなのかもしれません。

この辺については、この回の最後でもっぺん戻ってきて、検討しましょう。



ともかくも二人の仲が元通りになったと認識し、俄然やる気が出てきた橘。
一方、はるかは写真集の子犬から橘の事を連想しつつ、前日の告白の出来事を甘く思い返すのだった。

完全に回復して、放課後です。場所はおそらく例の公園かな。キリっとしています。

考えてる事は「よかった、これからも先輩と話ができる!」とか、非常の低いレベルでの安心です。

「今まで通りでいいんだ!」って言ってるけど、これは違うんですよね。今まで通りかもしれないが上限値は引かれてるわけですよ。

なのに「もっと仲良くなれるかもしれない!」としつこい。まあこのしつこさがなんとプラスに作用していくのですが。

元々あらゆる事象がプラスに作用するアニメですから、驚くには値しません。


場面変わって森島邸、風呂上がりか洗顔した後かくらいの森島です。きわどい部屋着ですね。

ブラチラチャーンス!!

ブラはしてません。

えっ……ええっ……!!

テーブルの上に置いてあるのは、読みかけの犬の本。おそらく図書室で借りてきたやつでしょうか。しばらく子犬に見惚れます。で、ふと、「このワンちゃん、あの子に似てるかも……。」

全く似てないんですよね。似てるか似てないかのレベルですらない。もう多分何を見ても橘くんを見出す感じなんだと思います。

ついでに先日の告白の事を思い出す。当たり前なんですが、ちゃんと憶えているわけですね。


タフさとカリスマ性とリーダーシップを全て兼ね備える者。それはプロレスラーだ。
としか説明せず、梅原相手にプロレスごっこに興じる橘。

ひどい男ですね。

しかしこの発想は評価したい。こういうのいいですよ、いい線行ってると思いますよ。

顔面めがけてライダーキック出しといて梅原が避けたら文句言うんですよね。相手に人格がある事を理解してない。

馬場イズムの信奉者なんですよ。


前方から「私も混ぜて、混ぜて!」の声。声の主はもちろん森島はるかだ。
「前の授業が体育だったの。さあ、かかってきなさい!カモン、カモン!」

服装。寒いのか寒くないのか?

この後出てくる響ちゃんが上半袖で下ジャージなんですから、普通に上下ジャージでいいわけです。でも着ない。やっぱ、脚見せないとね。

梅原はここで初めて森島に声かけてもらえたのに、橘が普通に関節決めてくるから痛いやら屈辱やらで大変ですね。

よく友達続けてると思いますよ。

さて、女の子にかかってこいと言われてもかかっていけるわけないんで、つっ立ってると「ならこっちから技かけちゃうよ!卍固めとか!」と、謎のモーションで挑発してきます。

卍固めとは、相手の左脚に自分の右脚をかけて、相手の右手を自分の左脇で差し込み、相手の背中からタコのように上半身を絡めて、相手の首の所に自分の左脚を巻く、という技です。

絶対にマネしないように、なんですが、この男子二人、進んで技にかけてもらおうとします。

こんな喜ばしい事、めったにないもの。わしにだって、かけてほしい、この老体にムチを打ってほしい!

と、そこで現われた塚原、さくっと二人からはるかを引き離します。こういう風に普段はるかを危ないところから連れ戻してるわけですね。

男子二人には涼しげに「続けて頂戴」と言うのがいいですね。はるかが大丈夫ならあとは関係ないわけです。当然男子たちはぐだぐだになって、プロレスも中止。

つまらなそうな森島ですが、橘が次を約束してその場は納めます。で、森島は四人で一緒に帰ろうと言いだす。塚原は「私は別に構わないわ」とこれを受けます。

この台詞なんか笑ってまうよね。烈海王みたい。


下校する四人。はるかと帰れる事が単純に嬉しい梅原に対し、彼女の人気ぶりに複雑な気持ちを抱く橘。
四人の会話はしだいにはるかの恋愛沙汰についてのものになっていく。

森島が学校でどのような位置にある人か、改めて語られていきます。まずは交友関係。

なんでもいろんな部活へ入部しては退部を繰り返して、学校中に知り合いがいるらしい。下校中にも何人もの後輩女子や教師に一声かけられます。

短期間であっちこっち入退部する、それも「何か違うなー」くらいの理由でやっちゃう人に、いい感情を持つわけがないと思うんですが、それを帳消しにするほどの魅力なのか。

響のアフターフォローがよほどしっかりしてたとかですかね。むしろ実は響が辞めさせてきたとか。こう、めんどい事になる前に。


「はるかのモテモテぶりはそれだけじゃないのよ?」
「この前なんて、2年と3年の一番モテるって男の子に同時に告白されたんだから」

橘くんが「告白?!」って前のめりになるのが正直でええね。

友人がここまでモテるとなると、自分だって感じるところがあるはずなんですが、達観してるのか、度量が広いのか、せいぜいはるかに皮肉を言うくらいです。

性格が男前なのはもちろんあるのですが、やっぱり保護者の目線なんですよ。娘がモテるからって嫉妬する母親っておらんでしょ?そういう事やと思いますね。

そういう母親は割といますよ。

いるね。いるなあ。母と娘っちゅうのは、難しいね。

さて、告白ですが、結局両方とも断わったらしい。ほっとする橘です。塚原はどたばたしてた当日の森島をちくりとからかいます。

反発するはるかちゃん。「最近はそんな事もなくて、ヒマでしょうがないくらいよ」と言います。ここでは、橘くんの事は伏せているんですね。

橘くんの事に限って伏せているのか、いつも伏せているけどバレてしまうのか。そういえば橘も梅原には何も言ってませんね。

最後まで何も言わないですね。そんな奴なんですよ。


「そんなにモテるんだったら、今まで振られてもまた告白してきた人とか、いないんですか?」

いい仕事だ!

振られたがまた告白する気満々の人が隣にいますからね。先に橘が何か言ってたらこんな質問せんかったわけです。

で、そんな人はいなかったらしい。普通ですね。すると梅原、「もししてきたらどうします?」と追い込みをかけます。


はるか「そんな人いなかったからわからないけど~」


「たぶんもう一度断わるんじゃないかな!」

ええ気味やわあ。

「こうして、あの日誓った僕の想いは、簡単に打ち砕かれたのだった」。

遅いですよね。告白した時に打ち砕かれて、保健室で打ち砕かれて、三回目でようやく気付きました。

「あの日誓った僕の想い」というのは1話Aパート終わりのモノローグですね。Aパートの終盤同士で対応しています。

失われた(恋愛)感情を取り戻す、という橘くんの目論見は、ここで一旦完全にご破算になります。

Aパートはここで終わりです。


アイキャッチ

アーママママママ♪


再び死人の顔で登校する橘と、それを心配する美也。その二人の前にはるかが現われる。
露骨にはるかを拒否する美也。橘に咎められても、逆に水をふっかけてしまう。

前よりひどいね。

前回はまだ瞳にハイライトがありましたね。

美也は心配で心配で仕方がありません。あげく原因が自分にあるのではないかと思い始めてます。

昨日兄の分まで「まんま肉まん」食べてもうたと。それを謝っています。おそらく美也から肉まんを取り上げればこの兄の顔になるんでしょうね。

兄は全編通して一回も肉まん食わないんですよね。揉むことはあっても。

と、そこで森島が登場。橘の顔は一瞬で元通りに。続いて美也にも話しかけるんですが……。


なんてネガティブな表情なんだろう!

森島をほとんど無視したあげく、兄をほっといて足早に去ります。慌てて追い掛ける橘。

この辺だけ見ると、感情に振れ幅があるというか、いつもニヤニヤしてる割に好悪が激しい感じがしますね。そういうのは素敵ですね。

一方、森島はあそこまで露骨に嫌われて全くノーダメージ。ニコニコしながら「きっと仲良くなってみせるわ!」とめげません。ちょっと怖い。

響ちゃんは今までどれだけこういう場面を救ってきたんやろねえ。


お前たいがいにせえよと妹を叱る橘。しかし妹からすればたいがいにしてほしいのは兄の方です。

なんて素晴しい口元なんだ。ネガティブな感情を剥き出しにしている。

こっちの話には返事もせんで、あの女の前ではニヤニヤしよって!と、蛇口から水を出して兄に浴びせます。

しかし、実はこの時、橘くんは自分がさっきニヤニヤしてた事に気付いてなかったんですね。

「ニヤニヤか……してたかもしれないな」と、このあとすぐの授業のシーンの中で、回想するんですよね。

橘くん的には、はるかちゃんとは一回終わってるわけです。でも、やっぱり会ったら笑顔になっちゃう。皮肉にも美也がそれを気付かせるわけですね。


授業中、美也に言われた事を反芻する橘。そのぼんやり顔に薫が紙くずを投げつけからかう。
投げ返し反撃する橘。二人はだんだんエスカレートし

ビデオを止めてください!


紙くずを誤爆されて、怒っている田中恵子ちゃん!高校ん時、よく女子にこんな顔されたよね!ええな、ええなあ!ええ事やったわ!

再生します。


担任に怒られ掃除当番を任された橘。そこにはるかが現われ、女子用の水着を持っていないか尋ねられる。
はるかは女子水泳部の練習を覗き見ているうちに、自分でも泳ぎたくなったというのだ。

腕ほっそいなあ!

紙くずの投げ合いが担任に怒られ、棚町と掃除当番になっちゃうんですが、棚町がバイトでバックレちゃって、橘は一人で全部やる事に。

おかげで再び、はるかちゃんと二人きりで会えました。Aパートは詞ちゃんが助けてくれて、Bパートは薫ちゃん。

開口一番「女子用の水着持ってない?」と驚愕のリクエストです。「持ってるわけないじゃないですか!」といたくまともに返す橘。

橘くんはまだ持ってないんですね。わしに言うたら貸してあげたのにね。

あきらめない森島、「美也ちゃんのでもいいんだけど、どうかな!」と食い下がります。

美也の水着を着る!と言うはるかちゃんへ、橘くんが向ける目線が下になります。


(SE)「ボゥム!」


(SE)「Qッ!」


(SE)「ボゥム!」

2010年にもなってボンキュッボン、しかもSE。

蒸気船ウィリーから82年、アニメーションの表現力はここまできました。感慨ぶかいですね。

何かと差し障りを感じた橘、「美也の水着なんて着たら、大変なことになっちゃいます」と再度断わります。

美也の体つきもどんなもんか知っとるわけですね。

それでも止められない森島、「学校指定の水着は、部活では使わないと思うの!」とひらめき、橘を無理矢理連れてプールへと向かいます。

シナリオライターは女子水泳部のことをよく観察しているなと思いますね。


水泳部の部員から無事水着を借りられたはるか。しかし響に見つかってしまい、プールを置い出される。
むくれるはるかを橘がなだめ、二人は再び図書室へと向かう。

その辺にいた水泳部員を捕まえて水着を要求するはるか。水泳部員はとまどいながらも二つ返事で承諾してくれます。

「オーキードーキー!」って喜ぶのがまた……。で、着替えてる間、橘は一人女子だらけのプールにゴミ箱持って突っ立っている事に。

部員たちの警戒心丸出しのヒソヒソ声が否が応にも聞こえてくるんですが、当人は彼女らの腰周りを眺めてたりまんざらでもなさそう。そこで……。


「どうしてここに男子がいるんですか?」

美也ちゃん!!

七咲です。

えっ、別人?!

水泳部の一年、七咲逢です。声はゆかな。前回はモブとしてのみの登場だったので、これでようやく六人のヒロインが揃いました。

美也ちゃんがまだ怒ってて、兄を完全に他人扱いしてるんだと思って、すごくワクワクしたのに……。

「何をしているんですか?」「ゴミ捨て場と間違えたという言い訳ですか?」と畳み掛けていきます。橘はタジタジで答えられない。

自分でも何しに連れてこられたのか分かんないですからね。わしらにもわからんし。しかし、こんな怪しいやつに自分から進み出て、逢ちゃんは肝の座った子ですね。


「おまたせ~、どお?……似合う?」

あと一歩で逮捕まで漕ぎ着けた橘ですが、間一髪のはるかの復帰で救われます。

またこれが完璧なモデル立ちでね。本当に素人なのか。

読モくらい当然やってましたよくらいの風格ですね。学校の水着でこんなポーズとれるからすごいですね。

案の定サイズは合わなかったというか、ヘソのラインて水着の上から見えるもんなんか?

「森島先輩!」と驚く七咲。二人は以前より知り合いなんですね。「この人、先輩のお知り合いですか?」という事で、はるかが二人を取り持ってくれます。

七咲と橘が知り合いになるのは、このはるかのパートと本人のパートだけです。

さて、二人の紹介も終わって、本格的に泳ごうとする森島ですが。


「ミョーに騒がしいと思って来てみたら、部外者が二人も!」

モノ言える大人の登場です。

塚原が現われただけで、威勢の良さが消え懇願モードになる森島。しかし塚原は耳を貸しません。

なんやかんやとおねだりするはるかちゃんですが、響ちゃんの睨みのひと効かせで完全に負けてしまいます。

この時、橘に対してはノータッチなんですよね。ぱっと見明らかに彼の方が問題あるんで、普通もっと何かあると思うんですが。

はるかちゃんと長いからおおよそ察しがつくんでしょうね。しかし、ここまで本当に、はるかちゃんは響ちゃんでしか止められないんですね。

すごすごとプールを後にする二人です。しかしあのまま泳ぐつもりだったら、本当に何のために橘を連れてきたんでしょうね。

見せるためじゃない?


「響ちゃんのけちんぼ~」「仕方ないですよ、塚原先輩にも、部長っていう立場がありますから」
「何よ!響の味方するつもり?」

興味深いカットです。

こんな態度、今まで取りませんでしたね。

「響ちゃん(のけちんぼ)」だったのに、橘が味方するや「響」なんですね。

まあ、普段も結構「響」って呼んでるので、呼び方だけでどうこうってのは言えないんですが、ニュアンスは感じますね。

ちょっとしたやりとりですが、明らかにはるかちゃんの中で何かが変わってきています。

しかし、部長の立場があるからとか、擁護にしてもちょっと違いますよね。明らかにそれ以前の問題。

このちょっとした非常事態ですが、橘は割と普通に切り抜けてしまいます。

図書室で子犬の本でも眺めてましょって提案する。どう見ても話題逸らしなんですが、意外とはるかちゃんは乗ってくれる。

あんな借りたんだけどまだ残ってるかな、ってなる。そこで橘が「僕が探し出してみせます!」と約束すると、すっかりそのテンションになります。

はるかちゃんが橘くんの言葉に従うのは、実はこれが初めてです。この変化もいつのまにかって感じ。

橘が自分で何かしてあげるって言うのも初めてですね。プールを出てから、この一分足らずの尺で色んな事が起きています。

なんとか三冊くらい見つけて帰ってきた橘。すると森島は眠りこけていました。

よう見つけたね。だってこないだ片っ端から借りてったんでしょ?どこに残ってたのかね。

例えばコンピューターの本とか、情報の棚と工学の棚に分けて置いてあったりしますよね。同じ要領で写真の棚と生物の棚とで分けてあったとか、あとは、前借りられてた本が戻ってきたとかですか。

我々がコンピューター言うのもおかしんですが、なるほどね。

森島の肩に自分の上着をかぶせ、橘は彼女が起きるまで待ちます。

徐々に図書室を夕闇が包んでいきます。

森島が起きました。


「あ……」
「おはようございます、先輩」
「あ……、ごめんね、寝ちゃった」
「少しだけです」
「あっ、かけてくれたんだ。ありがとう、優しいね」
「いえ、そんな……」
「……」


「ゲフン!ああ、すみません、それだけしか、見つけられませんでした」
「ううん、ありがとう。……ああ!これまだ見てない。これも、これも!やるわね!」
「それほどでも……」
「わー、これかわいい!この写真もキュート!フフフ……」
「……先輩」


「うん?」


「好きです」

ワァオ!


「えっ…?」
「僕、森島先輩が好きです」
「んもう……、またなの?」
「すみません。迷惑なら、もう二度とこんな事言いません」


「迷惑じゃないけど…、なんで?」
「先輩と一緒にいると楽しくて、もっと色々な話をしたいというか、それで……」
「急にそんな事言って……」
「すみません」
「謝らないで」
「すみま、あ……」


「なんで?だって、こないだ……」
「あきらめたくなくて。先輩が迷惑じゃなくて、またチャンスがもらえるなら、あきらめたくない。何度振られても構わない!僕が一番怖いのは、返事さえもらえない事なので」
「そ、そんな事しないわ」
「ありがとうございます」
「な、何お礼言ってるの。……変なの」


「あの、僕、先輩のこと好きでいていいですか? うっとうしかったら諦めます」


「う、うっとうしくなんか、ない……」
「じゃ……いいんですか?」


「……うん」


「やったあ!ありがとうございます!」
「もう、もうー」
「えっ?」
「もう、なんでそんなに一所懸命かな。そんなに頑張られたら、ほっとけないじゃない」
「先輩?」
「……これでもくらえ!」

ご覧頂きましたでしょうか。

あまりにも素晴らしいシークエンスなので、ほとんど書き起こしになってしまいました。

詳細を見ていきましょうか。

どこからいきましょうか。どこから見てたっけね。橘くんの告白からですか。

まさかの2話での2回目の告白です。こんなタイミングで2回目に踏み切れるのか。1回目と2回目でこれほど雰囲気が違うのか。

この告白が本当の告白ですよね。 はるかちゃんが犬の写真集を見ている間に、橘くんが姿勢を改めてはるかの正面を見つめる決意のカットがある。この時点で全然違う。

前回の告白では、目が合わせられなくて、俯いて地面を見ていましたからね。

前回の告白は、やはり言わされた告白なのです。不意打ちにつぐ不意打ちで、流れを作られてしまった。しかし、この場面では不意打ちをとっているのは橘くんの方です。

森島は寝ていましたからね。橘にはたっぷり考える時間があった。何を考えていたんでしょうか。

橘くんの心の動きを整理してみましょう。1話で出会いましたね。振り回されてホレてしまって、僕も恋愛する!キラキラしたる!と決意しました。そしたら速攻で振られた。

死にそうになって、でも何となくまだ見込みがありそうだってなって、元気になるんですが、やっぱり見込みはないってのがわかった。

「あの日誓った僕の想いは、簡単に打ち砕かれた」。一旦、完全にご破算になっているわけです。だからそれ以前とそれ以降では橘くんは変わらざるを得ない。

恋愛もキラキラも諦めた。森島先輩の彼氏にもなれない事がわかった。じゃあもう全部元通りなのか?というところで、美也が介入してくるんですね。

はるかちゃんに会うと、笑顔になるらしい。なってたかもしれない。望みが全て砕かれたら、はるかちゃんが好きという事だけが残ったんですね。そしてそれこそが恋愛なわけです。

恋愛を捨てた事で、逆説的に恋愛を取り戻す。その時、恋愛の意味合いが変わってるわけですね。

はじめに、橘くんが取り戻そうとしたのは、「恋愛」そのものです。この恋愛は観念的なものです。はるかちゃんはキレイだし素敵だけど、そこではある意味手段でしかない。

まず恋愛がしたい。そしてその相手は森島先輩がいい、と考えてるわけですね。

1話Bパートの、始めの方のモノローグを聞けば明らかです。こんなん破綻して逆によかったのです。そうじゃなくて、森島先輩が好きなんだってなるのが2話のBパート以降。

プールに行くエピソードが挟まりますね。

振り回されっぱ、言うこと聞きっぱだった状態から、徐々に関係を作りはじめていきます。そもそも水着貸してっていう要求を断わってますよね。

断わる以前に無理ですけどね。

いや無理じゃないですよ。別に持ってたってよかったわけでしょ。そういう話にしちゃえばいいんだから。

まあ、とりあえず断わったのはその通りですね。

で、その後プール行ったけど、特に何もしてない。実質はるかちゃん一人で遊んでますよね。要求断わってあとは一人で遊ばせてるわけです。これは振り回されているわけではない。全然違います。

森島の困ったちゃんなところを見ている。そして、怒られて、むくれている所を、こうこうしようといってエスコートしてくれる。

響ちゃんにしかできなかった事が、橘くんにもできるようになった。

約束した事もちゃんと果たしました。犬の本だって少ないながら見つけてきたわけです。

はるかちゃんが寝ているのを見ながら、橘くんは何を考えていたのか? もちろん、森島先輩が好きだという自分の気持ちです。だからこの告白は「好きでいていいですか?」という形になるのです。

その気持ちを秘めておく事だってできるんですが、言う事にしたわけですね。

秘めておく事は無理です。一回聞かれて答えてるから。自分から言い直す事しかできません。

森島はどうでしょう。

橘くんの額に口づけする時、肩にかけられた上着が飛んでいきましたね。つまりこの時、はるかちゃんは自分を覆っていた何かを捨てて、もろく、しかし身軽になったのです。何を捨てたのか。

どうしてここまで雰囲気が違うのか。どうしてここまで動揺しているのか。それなのに自分からキスまでしてしまうのか。

一回目の告白は即断でしたが、この時は結局最後までハッキリ応える事ができません。保健室で好きなタイプを聞かれた時と同じですね。

あの話に戻りましょうか。あの適当さは結局煙幕なのか、本心なのか。

煙幕でもあり本心でもあると思うんですよね。たぶん本当に、自分がどういう人が好きか、答えられない。そんなの無いんです。その場その場の思いつき。おそらくこの子は、恋愛を忌避していたんだと思う。

「私のこと好きなの?」とか「ざーんねん」とか言うてた人がですか。

あれは振るために言ったのよ。

という事は、橘の事は実は好きではない。

いや、橘くんは好きなんですよ。1話の時点でかなり好きなんやと思う。好きやけど基本的に他人と恋愛関係になるのは避けたいのよ。

それは意識的にですか、それとも無意識でですか?恋愛を忌避しているという割には、ずいぶん橘が誤解しそうな行動を取りますよね。あれはわざとではない?

森島はるかは、どのような女の子であるか。一回整理しておきましょう。

恋愛はしたい恋愛は無関心恋愛はしたくない
計算(脈あり)AAA BAA CAA
計算(脈なし)AAB BAB CAB
天然(脈あり)ABA BBA CBA
天然(脈なし)ABB BBB CBB

恋愛がしたいのかしたくないのか単に興味ないのか、誤解させる行動をするのはわざとなのかそうでないのか、そもそも橘くんの事は好きなのかそうでもないのか、三つの軸から考えていきましょう。

ちょっとわかりづらいですが、一つ一つを噛み砕くと以下のようになります。

AAA恋愛はしたいし、橘くんいいなと思ってるし、だから気持ちも振り向かせておきたい。
AAB橘くんは別にタイプじゃないけど、恋愛はしたいし、気持ちはこっちに向かせておきたい。
ABA恋愛はしたいし、橘くんいいなと思ってる。
ABB恋愛はしたいけど、橘くんは別にタイプじゃない。
BAA恋愛は興味ないけど、橘くんいいなと思ってるし、だから気持ちも振り向かせておきたい。
BAB恋愛は興味ないし、橘くんは別にタイプじゃないけど、気持ちはこっちに向かせておきたい。
BBA恋愛は興味ないけど、橘くんいいなと思ってる。
BBB恋愛は興味ないし、橘くんは別にタイプじゃない。
CAA恋愛はしたくないけど、橘くんいいなと思ってるし、だから気持ちも振り向かせておきたい。
CAB恋愛はしたくないし、橘くんは別にタイプじゃないけど、気持ちはこっちに向かせておきたい。
CBA恋愛はしたくないけど、橘くんいいなと思ってる。
CBB恋愛はしたくないし、橘くんは別にタイプじゃない。

AAAとABAについては、じゃあ何で一回目断わったのかという話になるね。まあ試してるつもりで一回振る事があるとしても、なら二回目の告白は願ったり叶ったりだからあんなしどろもどろにならんよね。

BABとCABは、森島悪女説ですね。恋愛も橘にも思うところはないけどキープだけはしとく。

橘くんをキープすることによっぽどのメリットがないとその労力は意味がないよね。というか、恋愛も橘もどうでもいいなら逆に一回目はっきり振る必要すらないんじゃないか。キープするためには。

そこまで打算的な人にどうして響みたいな連れができたのかも説明しないといけませんね。というわけでこの四つの線はとりあえず無さそう。

BBBとCBB。これはいちばんハードル高いですよね。全部橘くんの勘違いでしたっていう。

だったら、一回目のように、今回もはっきり断われるはずですよね。それか、二回目の告白で、森島の方にもよっぽどの変化があったか。

恋愛したいわけでもない人が、タイプでもない人に二回告白されて、どんな気持ちの変化があるのか。おでこに口づけまでしてるんですよ。この線もちょっと難しい。

これで半分が消えました。

AAB橘くんは別にタイプじゃないけど、恋愛はしたいし、気持ちはこっちに向かせておきたい。
ABB恋愛はしたいけど、橘くんは別にタイプじゃない。
BAA恋愛は興味ないけど、橘くんいいなと思ってるし、だから気持ちも振り向かせておきたい。
BBA恋愛は興味ないけど、橘くんいいなと思ってる。
CAA恋愛はしたくないけど、橘くんいいなと思ってるし、だから気持ちも振り向かせておきたい。
CBA恋愛はしたくないけど、橘くんいいなと思ってる。

AABとABB。別にタイプじゃないんだけど、まあ恋愛とかしてみたいから、付きあってみっか的な。

だったら今までもっと恋愛しててもよかったっていうか、今彼氏がいたっていいわけですよね。とりあえず恋愛したいなら。それはそれで高校生っぽいし、いいんだけど。

一応、二回告白してきた相手は橘だけらしいですから、そこで押されてドキドキした、っていうのはあるかもしれないけど、それは今残ってるパターン全部に適用できる話ですからね。これもなし。

CAAは面白いですね。恋愛嫌いだけど、橘くんが好きだから、恋愛を匂わせる手段を使って気持ちを引き止めている。

根本的に矛盾を抱えているキャラクターという事ですね。面白いと思うんですが、内面的な葛藤は相当なはずなのに、森島にそういう描写があったかどうか。

このパターンはある意味、AAA、ABAと一緒で、だったら橘が二回目の告白した時あんなに動揺しないはずなんです。残念がる事はあっても。

とすると、同じ理由でBAAも難しそうですね。

CAA、BAAは面白いパターンだと思います。しかし、森島はこのパターンではない。

というわけで、四つの候補が消えました。

BBA恋愛は興味ないけど、橘くんいいなと思ってる。
CBA恋愛はしたくないけど、橘くんいいなと思ってる。

だいぶ絞れてきましたね。

恋愛は単に興味がないのか、それとも忌避しているのか。

先生は後者なんですね。

単に恋愛に興味がないだけなら、なぜ自分から「私のこと、好きなの?」とか、「ざーんねん」とか言っちゃうのか、説明できひんと思うんですよね。

単に何も考えてないって事なのでは?

何の意図するとこなしであんな事言ったなら、橘くんが告白した後のあの表情はもっと説明がつきません。

そもそもBBAって事は、橘くん自体は好きなわけですよね。だったら別に付き合ったっていいわけです。こんな冷たい表情にはならない。付き合いたくないからこんな事になるんです。

CBA橘くんは好きだが、恋愛はしたくない。

保健室のくだりで、彼女の無邪気さが人を傷つける事を、彼女は知らされているといいました。彼女にとっての普通が、他人にとっては普通ではない。しかし、実際は逆で、他人にとって普通な事が、彼女にとっては普通ではないのです。

たとえば棚町薫が橘と作っているような関係を、森島は作れないんですね。

小学校の時は、男子と馬跳びだって平気でできてました。プロレスだってしてたかもしれない。しかし、いつのまにかそれができなくなった。

彼女は未だに馬跳びをしたり、プロレスをしたり、したいわけですよね。内面が状況に追いついていない。

人間同士が一番モメる時って金か恋愛かなわけです。なのに彼女は恋愛に対して全く無防備。するとどうなるか。

美也だってあれほど荒れていたわけですから。

今は響ちゃんがついています。おかげで安定している。しかしそれまではどうだったんだろう。あるいは、響ちゃんとはるかちゃんの間だって過去何があったかわからない。

塚原が森島に言う、「もっと人の気持ちを思い遣れ」という言葉は、そんなつもりが無かったんなら、言われるほうだって傷つく言葉ですよね。どうしてこんな事になるのか。

森島はるかは、橘くんとは全く逆の理由で、恋愛一般に対して禁忌を持つことになるのです。

そこに橘が現われた。

よりによってこの絵か! まあ、そんなところです。

これが、だいぶ気に入ってしまった。やさしくてちょっとだけかっこよくて。彼女目線でですが。馬跳びもプロレスもできそうな相手で。

しかし、あくまで恋愛は禁忌なわけですから、線は引いとかないといけない。だから思わせぶりな事を言って、瞬発力で振ってしまうわけです。

それでも友達でいてくれるならめっけもの。いなくなったら残念だけど仕方ない。今まではだいたいいなくなってきたわけですね。

保健室で、友達でもOKという事にした橘くんはそれはそれで良い判断だったわけです。もちろん、その時は橘の方が何も考えてなかったわけですけど。

それで森島も油断していたら、このような事になった。森島にとって初めての事を、不意打ちで、熟考の末にやってくれたわけです。

「なんで?だって、こないだ……」っていう台詞の不思議な機微は、そういう流れがあっての事なんじゃないかと。

「好きでいていいですか」なんて、本当はめちゃくちゃずるい質問ですよね。でも、それがアリになる。

友達でいよう、というはるかちゃんの禁忌を、破ることはしないが、限りなく「セッキン」していく。なぜそれができたかは先程説明しました。

はるかちゃんは元々プールで泳ぎたかった。でも、それはできない。けど、図書館で犬の本は探してあげられた。そういう事ができるようになったのと同じ。

あれだけの面白カットを詰め込んでおいて、進めるべき駒はちゃんと進めておいた訳です。一切の無駄なプロットがない。プロの仕事だなと感じますね。

キスをする時に脱ぎ捨てる上着というのは、彼女が自分から禁忌を脱ぎ捨てたという事になりますかね。それは同時にある種の保護からも抜ける事になるんですが。

他ならぬ橘くんがかけてあげた上着なんですよね。実はここで少しだけ二人の間にズレがあるんです。この事はあとあと表に出てくるので、その時見ていきましょう。


「い、今の……。」
「必死で八の字になってる君の困り眉毛が、あんまり可愛いからキスしたの……、またね」

必死で八の字になってる君の困り眉毛が、あんまり可愛いからキスしたの。

そのへんは、いいじゃないか……。


エンディング

前回は素で紹介を忘れていましたが、曲は「キミの瞳に恋してる」です。歌手の名義は「森島はるか(伊藤静)」となっています。

なにこの格好! 絶対にブラをしていない!

回してるのがハートのエースってのが2010年じゃないですよね。

この格好なら、本当は下だってはいていないのではないか?

森島邸が出てくる時は必ずこのソファが出てきます。着ている部屋着も必ずこれですね。

わしはこの布になるよ! そしてどんどん伸びましょう!

一話から脚本が木村暢に変わっています。一つのパートの中で脚本が変わるのは森島編だけですね。


次回予告

わしの大好きな単語が来たわあ!

次回こそは短めにまとめます。

森島はるか編 第三章「ヤキモチ」