(響)「あれからもう10年かあ……」
えー、まだ本編が残ってるんですが、先生方が二人とも気が触れてしまったので、この先は僭越ながら私一人で進行させて頂きます。
ウラシマな我々を迎え入れる場所が、ご存じ1話冒頭から出てきたこの橘家ですね。10年経った割にはカーテンの色まで一緒なんですが、階段横の木が植え替わっているのと、軒先の街路樹が倍くらいの大きさに育っているのとで、実際にそれなりの時間が経過している事がわかります。
響「あなた達、上手くやってるの?」
はるか「ええ~、やだ響ったら、私たちラブラブよぉ」
そんな橘家の中にいたのはこの二人。10年の加齢を感じさせない塚原に対し、森島の後ろにまとめた髪と、赤から青(セーターからシャツ+ジャンスカ)へと変わった部屋着とが、彼女に起きた大きな変化を印象づけます。
!
先生!! 先生どこから!? 大丈夫だったんですか? 先生、何ともありませんか?
こんなに、汗びっしょんなって……しかし、ひとまずは良かったです。まあ、ちょっと座って休んどってください。しばらくは私一人で進めますので。
うん、ですから上手くもないので座っててください。
響「まぁあなた達の事だから、変わり者同士、上手くやってるとは思うけどねえ」
コーヒーと一緒にビスケットみたいな感じで出すんですけど肉じゃがなんですよね。何を考えているのか?
でもお箸自分の分しか出してないですからね。塚原はこれ手づかみで食うしかない。コーヒーにしたってソーサーも無しにコップ直置きで出してるんで、まだまだ家事はそこまで得意じゃないという事が伝わってきます。
その二人が楽しく暮らしてるかどうかが分かるのが次のカットです。ドアを蹴飛ばすような大きい音を立てて橘が乱入。
「指名手配犯め! お前を逮捕する!!」
すかさずはるかが立ち上がって、「響、あなたは逃げて!」と振るんですが、塚原はコーヒーを一口すするだけで、「……これ毎日やってるの?」とつれない反応。
コマ送りで確かめると、塚原より先にはるかが音に反応してるんですよね。二人の運動神経とかから考えると、事前に仕組んだドッキリなのか、または普段からよっぽどこういう事やってるのか、どっちかかなと思いますね。
響「これで本当に刑事だっていうんだから、日本の治安は大丈夫なのかしらねえ」
本当に刑事でした。すごいですよね、ノー伏線です。
案外、だからこそ上手くハマったりするかも知れませんよ。ハッカーがFBIに雇われるみたいな。
変態の心理や行動を知り尽くしてる事から、変態犯罪専門の捜査官として活躍するんですよ。現場の些細な様子や容疑者の言動からどんな変態か分析して追い詰めていくんですよ。
ヘンタリスト
どっちか言うたらホワイトカラーとかのが近いかな。まぁどんな特殊刑事になるにせよ、そこに至る描写はゼロなのですが……それとも、我々が何か見落としたんでしょうかね。
……色々な……ごっこ遊びを? 今の妻と……妻と、高校生の頃に……? 様々な犯罪者を……? 卑劣なあの手この手を……!?!
それ良くない!? えっ今の良くない「この犯罪……あの時はるかとやった○○遊びと同じだ!」良いじゃないですかおりしーこれ良くない? めっちゃ良くなくなくなくない?
せや! 謎を解くのはるかちゃんでも良くない? くたくたの橘くんが家に帰って、事件のあらましを教えると、「ねぇ純一、あの時の○○遊び覚えてるかな?」とか言い出すねん。うわやっば、これイケるな! 美味しいな!
ほんでな、しかもな! はるかちゃん、全部は解かへんのよ。ヒントだけ出して。で、橘くんが「そうか、膝の裏か!」って解決して、後で君のおかげや言うと、「わお、何の事かしら?」ってキョトンとするんですよ。
そうですね、いいと思いますね。同人誌でやりましょうね。
メジャー感消えた!
「響、純一には日本の平和は守れないかもしれないけど、私の事は一生守ってくれるって約束してくれたのよ?」
平和を守れよ!
いやまあ、そこですごい頑張って日本の平和を守られても、作品が違うわけですけど……言うたらクライアントの前やで、悩むふりくらいせえよ。
スケベ有理ノロケ無罪の世界ですからね。まあこれが納得行かへんのでしたら、ここは響ちゃん相手におどけてるだけで、実は二人の間色々あったし、覚悟だってあるんだという風に思っておきましょう。
「はるか……!」
「じゅんいち……!」
「星の数ほど愛しているよ」「私も愛してるわ、じゅんいち!」
(はいはい、ごちそうさま……)
やれやれ気味の塚原の言葉とともに、閉じられる橘とはるかの結婚式アルバム。アマガミSS森島はるか編、これで終幕です。お疲れさまでした。
ラスト1分で10年飛ぶのも大概でしたが、この21世紀にまさかのアルバムそっ閉じで終わりました。まあしかし、良いでしょう。橘も、はるかも、おめでとう。
エンディング
この曲も聞き納めです。
クレジットでのはるかの表記が「森島・L・はるか」に変わっています。やはりミドルネームを教えてからは別人扱いって事なんですかね。
アマガミSSの一つの特徴で、全話必ず全ヒロインが映るようになってるんですよね。たとえセリフがなくても、チラっとテラスの向こうでお昼を食べていたりする。
唯一の例外が次に扱う第5話で、七咲が全く出てこないんですよね。ただこの場合も、美也と中多が「逢ちゃん(部活で遊べなくて)残念だったね」と話題に出したりはする。
脈なしなら脈なしで普通に学校行って、部活に出て、友達と遊んでたりバイトに行ったり、図書館で勉強してたりする訳ですね。一人付き合っても残り五人はそうしてるところを毎回必ず見せてくる。
そんな事してるの?!
そしてそれに続いてオーラスの絢辻編になる。とはいえ、この話はちょっと先走りすぎですね。
レビューを進める必要上、我々はどうしても焦点の合ってる方に沿わざるを得ない。この先、そんな我々の言葉の及ばないところでも、Lのつかない無数の森島はるかが方々で暴れ回っているという事で。
次回予告
それにしても、高所恐怖症で刑事って務まるんかね?
へえーそうなんや。しかし、橘くんが本当の刑事だとすると、さっきのドッキリで出した警察手帳はあれ、ホンマモンやったって事ですよね。そんな事、大丈夫ですかね。
精神科じゃない? 二人を治療中なのよ。
切ないといえば、あれ橘くんの家ですよね。美也ちゃんはどこ行ったの? なんで四人席のテーブル一人空いて終わるんやろね?