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上質の国産……挽肉と野菜を詰め込んだまんま軒特製のまんま肉まんは米粉を使ったもちもちの包と肉汁ジュワ~の具がおいしい野菜の甘味だけを使ったカロリー60%減のヘルシー中華まんです。由来:まんま軒創業者である麻武真十造(まんま・じゅうぞう)は福建生まれの貧しい木こりであった。ある日、十造が斧で楠の木を切っていると、斧の跡から血のような赤い液体がどくどくと流れだした。楠の木を切り倒してみると、中には赤子の頭から手足が生えたような小さな怪獣がいた。十造が怪獣を捕まえ持ち上げると、「私を食べないでください。代わりに私にそっくりの味がする食べ物の作り方を教えてさしあげましょう」と言い、赤子のような口から干しいたけやたけのこ等の料理の材料を吐き出した。これらを怪獣の言う通り仕込んで肉まんの形に作り、蒸して食べると美味であった。十造は大いに感心し、怪獣を斧で打ちつけ蒸して食べると果たしてそっくりの味がした。十造が村に帰り、同じ料理を作ってふるまった所、村の人々は大いに喜んだ。「わしは長らく貧しく実直に生きた。この味は神様からのお恵みである」と十造は神に感謝を捧げ、まんま軒の敷地内には今でも神を奉る小さなお堂が立っている。まんま軒特製のまんま肉まんは大昔の作り方そのまま、大きさだけ半分の食べやすいサイズです。

まんま肉まんの冷凍パッケージをビリっと破り、レンチンの間その裏に書かれていた上の文章を読んだ橘美也は戦慄した。冷凍パッケージが床にぼとりと落ち、タイマーが0になった電子レンジから大きなベルの音が鳴った。豆電球に照らされた電子レンジの内室ではラップと皿の間からまんま肉まんの蒸気が吹き出しガラス扉に水滴を垂らしていた。「もうみゃーはまんま肉まんを食べられないよ」と美也は打ちひしがれた声でつぶやき、両手にゴム手袋をはめてまんま肉まんを取りだし、裏庭に手袋ごと埋めた。再びリビングに戻ると、電子レンジからまた大きなベルの音が鳴り、豆電球に照らされたまんま肉まんが中で回っていた。美也は腹底から野太い叫び声をあげ、素手でまんま肉まんを取り出し窓から投げ捨てた。後ろから兄が「美也、僕のさっき温めたまんま肉まんを知らないか?」と聞いた。