you've got a point


学生ん時の英語講師だったマイケルがいつのまにか別の学校の講師となり、いつのまにか某紙でコラム集を出してたのを図書館で見かけて借りてみて、総合的には一つだけ結構面白くて後はどうってことない感じだったのだが、そのどうってことない方のコラムの中にマイケルのサイフはポイントカードでパンパンという話があって、ヨドバシと近所のドラッグストアのくらいしかポイントカードを持っていない俺はかつての恩師のサイフのパンパンさを想像し不思議な感慨を抱いたのだった。

ポイントカードを持たないのはかさばる以前にポイントについて考えるのがめんどくさいってのが大きいのだが、今やブックオフですら100円文庫を一つ買うにも「ポイントカードはお持ちですか?」「いいえ」「無料でお作りできますけどいかがでしょうか」「結構です」という一連のネゴシエーションを踏まないと買い物が無事終了できないわけで、同じ事例が全国津々浦々のあらゆるショップのあらゆる買い物行為で頻発しているだろう事を考えると、総計的に膨大な時間とエネルギーが決して作られない虚のポイントカードのために費やされていると考える事ができる。

そこで私なりにこの問題の生産的な解決法を考えてみたのだが、要は聞かれる前に答えれば良いわけで、「ポイントカードいりません」と書かれたバッジなりシールなりをデカデカと胸のあたりに付ければ一気に解決される。バッジとかじゃ良くみえないから「ポイントカードいりません」と書かれたTシャツでも良いだろう。ただ一人で着るのは恥ずかしいし、店員が「単にそういう柄」と思っちゃうと元も子もないので、ポイントカードいらない人が団結してポイントカードいらないNGOを作り、Tシャツとともにポイントカードいらない一定層の存在をパブリックにリレーションしていく事が肝要になると思われる。

だいたいポイントなんか付けるより単に値引きしてくれた方が囲い込みもなく健全なので、それなりに社会的な意義もあるだろう。ついでに団体名は「No Pointcard Organization」とでもしておけば略称がNPOになるので、「どうもNGOのNPOです」と飲み会のあるたびにネタにすることができる。今や社会運動ではユーモアや楽しさが徹底として求められるので、そのてん時代のニーズも十分汲みとれている団体といえよう。

ところで今日は新宿を歩いていたらポイコというカードをお姉ちゃん達が配っていて、なんでもいろんな店で共通してポイントがたまる革命的なポイントカードだそうで、これはヨドバシとビックとあと職場のほっかほっか弁当でもポイントが貯まる究極のカードかもしれないと思い受けとってみると、どうもリクルートがホットペッパーで調子に乗って出したカードのようで

・使える店舗の九割が飲み屋
・ポイントが貯まるのは夕方七時から翌朝三時まで。ランチ無効
・ポイントは金額に関わらず(!)一回50ポイント

というしょっぱい事このうえないカードなのだった。しかもwebサイトからわざわざケータイのメールなどを登録しないと使えないとの事で、つまりこのカードでひとかけらのケーキにありつくためには、リクルートにケータイのメルアドを含む各種個人情報を教え、このカードを使ったあらゆる消費行動がリクルートに記録される事を承認した上、わたみで夕方七時以降におおよそ六回以上飲み会を開かなければならない。

いまやケーキは、かくも口にするのが難しい食べ物となってしまったという事だ。パンがなければケーキを食べればと言い放った王妃が断頭台にかけられたのも無理からぬことだ。

(二〇〇八年九月)