この文章はWhat Is Cuil Theory?の不誠実な翻訳である。Cuil理論は検索エンジンCuilのとんちんかんな画像検索結果よりヒントを得て考案された。Cuil理論は最先端の理論であり、こんにちの経済危機を乗り越えるためには人類がCuilの力を正しく使う事が必要とされる。Cuilはゲール語で知識を意味する。
Cuil理論は独自の単位としてCuilを使う。1 Cuilはある事象がその実態から一段階離れて抽象化された事をあらわす。単位としてのCuilは‽と表記することができる。
あなたは私にハンバーガーが欲しいと言った。
あなたは私にハンバーガーが欲しいと言ったので、私はあなたにアライグマをあげた。
あなたは私にハンバーガーが欲しいと言ったが、私は存在しない事がわかった。私が立っていた場所にはハンバーガーの写真が横たわっている。
あなたはハンバーガーだった。あなたは叫び声をあげようとするが、その唇からは特製ソースが飛び散るばかりである。世界はセピア色だ。
なぜドイツ語で話しあっているんだろう? 仔牛をあやしながら、パントマイム師が静かに泣いている。牛がバラバラのビーフパティに切り刻まれ、その間あなたの祖父はあなたを見つめている。あなたはつい目線を下ろしてしまうが、そこには目玉の代わりにピクルスを詰めた私がいるだけであり、私は宇宙の生まれる歌を歌う。
あなたはハンバーガーを求め、私はハンバーガーを渡す。あなたはそれを口まで運び、一口くわえる。不意に視線が逸れる。通りの向こうで三児の父が階段から転げ落ちる。あなたは口の中のものを飲み込み、手にしているハンバーガーを見下ろす。私はハンバーガーを渡す。階段の上に子供たちがいる。バンズからピクルスが不穏にはみ出る。あなたは私の顔を見、私は懇願する。子供たちが泣き出す。あなたはハンバーガーを口まで運び、一筋の涙があなたの顔を流れ、一口くわえる。私はハンバーガーを渡す。あなたは私にひざまずき、通りの向こうに行かせてくれと懇願する。私には子供たちの笑い声しか聞こえない。私はハンバーガーを渡す。あなたは叫び声をあげながら階段から転げ落ちる。私はあなたの子供だ。何も見えない。ハンバーガーを一口くわえる。コンクリートが勢いよくせりあがってくる。あなたは自分のベッドでハッと目を覚ます。不意に視線が逸れる。私はハンバーガーを渡す。あなたが私を殺しても私は物音一つたてない。私はハンバーガーを渡す。
あなたは私にハンバーガーが欲しいと言う。それに報いようとする私の試みは、私のからだの突然の電子欠乏により乱暴にも中絶される。あなたは全ての余剰次元を通して落胆させられる。ジョン・レノンが私にリンゴを手渡すが、私の指を擦り抜けて落ちてしまう。私はヤマネコに生まれ変わる。あなたは否認する。何かの割れる音が現代物理学を無視して宇宙全体に反響し、宇宙の不規則な暗ノイズは完璧な変イ(A♭)へと変容する。あらゆる場所で子供たちが遊ぶ手を止め、宇宙マイクロ波背景放射に合わせて正確な音程でハミングをはじめる。太陽が地球を飲み込み、鳥たちは落ちる。あなたは全ての知を受け入れる事を、少しの間躊躇する。あなたは森羅万象に内包された情報を読みふけ、エントロピーはこなごなに砕け落ちる。フェニックス市の小さな図書館が存在する事をやめる。あなたは全ての「ある」の重みの下でよろめき、あなたの口は叫び声をあげようとするが、あなたが形而上学的平面へ瞬間移動する前にあなたのからだから崩れ落ちてしまう。あなたは4次元の中にのみ存在する。全ての知の水源が波打ちながら地面を進み、やがて小さな犬にぶつかる。時-空は回復され、私の頭が歩道に触れる。時-空の再構築のひずみでからだが潰れそうな私から、ハンバーガーを渡されるためだけにあなたはこの物質上の世界へ瞬間移動で戻ってくる。森羅万象の状態は再び真に戻り、件の小さな犬は寿命の尽きるまでステーキが与えられる。そのすぐ後にあなたは妙な事故で死に、その魂はフェニックス市図書館の返却コーナーで勤めはじめる。あなたは否認する。その否認が生と死の次元の狭間にさざ波を起こす。小さな子供が彼の父の立っている階段に向かって進みながら泣きはじめる。